flavorsour 第五章

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翌朝の目覚めは最悪──というほどでもなかった。 あれから色々と考え事をしてしまって結局ベッドに入ってからも中々寝付くことが出来なかったにもかかわらず、ごく短い睡眠時間でも深く眠れたのがよかったのかいつも通りの時間に難無く起きることが出来た。 (なんだろう、私、案外図太いのかな) 不毛な恋愛をしているくせにそのことによって変に悩んで気持ちを病んだり体調を崩すということがない。 (いや、悩んではいるけれど……) 起き上がりベッドの縁に座ってぼんやりとする時間で頭を駆け巡るのは絶望感ではなかった。それはずっと考えて辿り着いた一縷の望み──というもののおかげかもしれない。 確かに榛名さんは蓮のことが好きだけれどどんなに好きでいても結ばれることはない。それでも諦めきれない榛名さんは私と同居して蓮との繋がりを保ち続けたいと思っている。 そういう思惑があって私に対して結婚をちらつかせていることは充分に分かっている。 問題は……榛名さんが私のことを好きじゃないのに其処に付け込んで結婚してもいいのかどうかということだ。
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