flavorsour 第五章

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そして散々考えて辿り着いた結論は── (付け込んでいいんじゃないの?) 今までその結論に辿り着けなかったのは私が榛名さんに対してそういう気持ちにまでなれていなかったということがあったから。 (でも……今ではもう……) 『私、榛名さんのことが好きなんです』 不意に嶋さんに告げた言葉を思い出した。 『完全に私の片想いなんですけれど……今回の件も榛名さんとの接点を持ちたくて少し大袈裟に相談したことで起こってしまったんです』 私のその告白に嶋さんは『そういうことでしたか』と言って納得してくれた。 (そう……私、榛名さんのことが好き) ずっと燻っていた気持ちが今回の件ではっきりと露呈した。だから私は割り切れると思った。 例え榛名さんが私を好きでなくても、私を利用してまで蓮と関わりを持っていたいと思っていても、それでも私はそんな榛名さんと── (寄り添っていたい) それが私の出した答えだった。 だからなのか今朝の目覚めは悪くなかった。自分自身の本当の気持ちを見つけた瞬間、嘘でもこの生活が続くのなら私はそれだけで幸せなのだと思えてしまったのだから。
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