flavorsour 第五章

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何故急に外食に誘われたのかということに驚きと戸惑いを覚える。 私の知らない何かの記念日だったのか? と考えたり、榛名さんに何かいいことがあったのか? なんて色々考えたりするけれど…… (いや、でも何もない普通の日に外食ぐらいするよね?) というか、そもそも私たちふたりで外食することが少なかった。私はよほどの理由がない限り外食するという意識が希薄で小さい頃からの習慣で家族揃って家で母や澄子さんが作った料理を食べるのが当たり前だったしそれが好きだった。 それに比べ榛名さんは私と違って独り暮らしが長いし外食もそれなりに── (そういえば前、私と暮らすようになってから外食が減ったって言っていた) それを訊いた時は特に何も思わなかったけれど、それはつまり家で食べるご飯に満足してくれていると──そう思ってもいいのだろうか。 (いいのかな、いいの……かな) また都合のいい解釈をしてひとり浮かれてしまいそうになる。榛名さんの気持ちなんてとっくに知っているのに、それでも接して会話する度に誤解しそうになる。 (少しでも私のことを……なんて) 蓮とは双子だけれど二卵性だ。いっそ一卵性だったら私の姿は榛名さんの好きな蓮とそっくりになっていたかもしれない。 「………」 (って、一卵性だったら同性になってしまうじゃない!!) 二卵性だから私は女なわけで、男に生まれていたらどっちにしろ榛名さんとは結ばれなかっただろう。
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