flavorsour 第五章

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(いや……でも榛名さんが同性愛者なら私だって……) 今は全くそういう趣向は持てないけれど、もし本当に私が男だったら榛名さんになら──なんて考えたところで背後でくすくす笑い声が聞こえた。 「──え」 「どうしたの、蘭ちゃん」 「~~~っ」 軽く身支度を済ませた榛名さんが口元を抑えながら笑っていた。 み み み (見られていたぁぁぁぁ──!!) 恐らく妄想中の私の顔は面白可笑しかったのだろう。榛名さんが盛大に笑っている様を見ればそれは一目瞭然だった。 (恥ずかし過ぎる!!) 私がどういう顔をすればいいのか盛大に焦っていると榛名さんは笑うのを止めて「ご飯にしよっか」と切り返した。 「……ご飯」 「うん。お腹減った。もう食べられるんだよね」 「は、はい。すぐに並べますね」 「手伝うよ」 そうして私が可笑しかったことを特に深堀せずそのまま作っていたおかずをお皿に盛りつけたりしてくれた。 (う゛~う゛~~~もう、そういうところが~~~) 好き──だなんて思うとまた顔が崩壊しそうになったので何か難しいことを考えて表情筋を引き締めようと必死になったのだった。
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