flavorsour 第一章

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バスを降り自宅方向へと歩いている私と榛名さん。 「……あの」 「ん?」 「もう家、すぐ其処なので」 「あ、そうなんだ」 「だからもう榛名さんも帰られた方が──」 「此処まで来たら家までちゃんと送り届けるよ」 「……」 (分からない) 何故この人はこうまで私に付き添うのか。確かこの人は言ったはずだ、『好きでもない女の子を襲ったりしないから』と。 つまり私のことを何とも思っていないのだ。なのに何故そんなどうでもいい女に対して此処までのことをする? (ひょっとして……何か別の下心がある?) そんなことを考えていると突然ハッと閃いた。 (え……も、もしかして……) 先刻からずっと蓮の話をしていたことを踏まえて考え、辿り着いた仮説に背筋に冷たいものが走った。 (この人……ひょっとして蓮のことが──) そこまで考えブルブルと頭を振った。いやいや、いくらなんでもそういう展開はあり得ないだろう。 …………ない、筈だ。 (……え、どうしよう) もしも……仮に……榛名さんが蓮のことをただの後輩としてじゃなく、その……れ……れ、恋愛対象として好意を持っていたとしたら── (そのために私に近づいた?!) かなりぶっ飛んだ発想ではあるけれどそう考えると何もかもが繋がるような気がした。 好きでもない女に構うのも蓮の情報を訊き出すためにとか、協力してもらうように懐柔する機会を窺っているとか…… (だから私が気になるような接近の仕方をした?!)
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