flavorsour 第五章

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どういう経緯で付き合いが始まったのかは分からないけれど、異性と付き合うという時点でそこに誠実さはないように思える。 (多分そこら辺のことは話してくれないんだろうな) 単なる同居人で本命の妹というだけの肩書しか持たない私には安易に踏み込んではいけない領域のような気がした。 「なんかごめん、変な話になって」 「……いえ」 「ほら、デザート食べようよ」 「……はい」 榛名さんは変な話といったけれど、私はその変な話すら聞きたいと思った。 (まぁ、そんなこと口に出しては絶対に言えないけれど) そうしてまたひとつ、私は気持ちを心の奥深くに押し込めるのだった。 デザートを食べ終えた私たちはどちらからともなく「帰ろう」という雰囲気になった。 会計するためにバッグから財布を出そうとすると榛名さんは手で制した。 「支払いはもう済んでいるよ」 「え」 「だから財布は仕舞って」 「いつの間に……」 榛名さんの言葉に驚きつつ、一体いつ支払ったのかと考えたけれどすぐに分かった。 (きっとデザートを食べ終わってからお手洗いに行った時だろうな) まるで漫画や映画のようなスマートなやり方に一瞬ときめきを感じたけれど、実際にやられるとあまり嬉しいとは思えなかった。
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