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それに気が付いてしまってから少し気まずく思いながらも再度訊ねた。
「どうして蘭ちゃんが謝るの」
「……それは私が榛名さんに辛いことを言わせてしまったから」
「え」
「私がもっと榛名さんの話をきちんと聞いて理解していたら……救われたなんて言葉、出なかったんじゃないかと思って」
「……」
「榛名さんは私の本性を、性格を知っても……それでも好きだと言ってくれたのに」
「……うん」
彼女の温もりを感じながら紡がれる温かい言葉に酔いしれる。彼女の心の声も温かったけれど、やっぱり耳に振動して届く彼女の気持ちが心地よかった。
既に俺は彼女から吐き出される言葉が嘘偽りのないものだと知ってしまっているから尚更それがよかった。
「……ありがとうございます」
「それは何に対してのありがとう？」
「私を……こんな私を好きになってくれて」
「……」
「きっと榛名さんは私の気持ちをとっくに知っているから……敢えて言わなくてもいいかもしれないけれど」
「よくないよ」
「……ですよね」
彼女がくすりと笑った。その理由が分かるから俺もつられて笑った。
『口に出すより先に能力を使って本心を覗いて分かったような気にならないで』
『私はあなたとちゃんと会話がしたい』
そう言った本人である彼女は有言実行の人だった。
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