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「私も榛名さんが好きです。榛名さんが人の心を読めるとか読めないとかそんなの関係なく、私は榛名さんのことが好きです」
「……蘭ちゃん」
俺の腕の中でほんのり頬を染めながら真っ直ぐに告白してくれた彼女に愛おしい気持ちが競り上がって来た。
「でも……覚悟していてください」
「ん?」
「私、もう猫を下ろしますから」
「それは……うん」
「本当の私は今までのような聞き分けのいい大人しい上品な女じゃないですから」
「うん。俺、そっちの蘭ちゃんの方がわりと好き」
「っ!」
愛おしさが溢れ過ぎてもう我慢出来なくなり、思わず彼女をギュッと抱き締めた。
「く、苦しいっ」
「ごめん。でも嬉しくて嬉しくてしょうがないから我慢して」
「~~~む~~~りぃぃぃ」
そう言って彼女は力強く抵抗した。
「意外と力あるんだね」
「ありますよ。見くびらないでください」
「恋人の抱擁なのに抵抗するんだ」
「っ、こ、恋人?!」
『恋人』という言葉に激しく反応した彼女は見るからに動揺した。
「思いが通じ合ったんだから恋人同士でしょ? 俺、恋人に対しては容赦なくイチャイチャするからね」
「~~~っ」
俺の嘘偽りのない宣言に彼女は更に頬を赤らめて薄っすら目を潤ませた。
(はぁぁぁ……そんな顔、しないでくれよ)
ようやく手に入れられた彼女のそんな表情を目の当たりにして、愛おしい気持ちが膨れ上がるのが止まらない。
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