flavorsour 第六章

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「蘭ちゃん、しても……いい?」 「は? な、何を」 「……」 「榛名さん?! 何をしていいって──」 「………プッ」 「?!!」 面白いように慌てふためく彼女を見ていたら笑いが込み上がって来た。そんな俺を見た彼女は当たり前のように「また私の心の声を読んだの?!」と怒った。 「ううん、読んでない。読まなくても分かる」 「え……」 「多分蘭ちゃんの考えているような際どいことじゃないよ」 「! やっぱり読んでいる!!」 「読んでないけどその反応、やっぱり当たった?」 「~~~っ」 彼女はよりいっそう顔を赤くして頬を膨らませそっぽを向いた。 (だけど本当、読んでないんだよ) というか──読めない。 どういう訳か先刻から彼女の考えていることが分からなくなっている。これ以上ないくらいに彼女のことを考え、興味津々なくらい愛おしいと思っているのに…… (どうしてだ?) 何をきっかけにそうなってしまったのか分からないが、今のこの状況では彼女の心が読めなくても全く問題はない。──寧ろ 「彼女になった蘭ちゃんにしたいのはキスだよ」 「っ!」 「ダメ?」 「だ、だ……だめ」 「……」 「~~~じゃ……ない」 「ふはっ」 羞恥心マックスとでも表現したいくらいに恥ずかしい顔をした彼女が可愛過ぎて沸き上がっていた欲望がほんの少しだけ欠けた。
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