flavorsour 第六章

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「は、榛名さん?!」 「もう我慢出来ない」 「!」 「君が悪いんだからね」 「え」 「君が俺を煽った。だから──いいよね?」 「……」 「今度こそ蘭ちゃんが望んでいた際どいこと、してもいいんだよね」 「~~~」 俺は正直な気持ちを吐露した。それを受けて彼女は赤くなっている顔を俺の胸に埋めながらゆっくりと首を縦に振った。 最大限に盛り上がってしまった気持ちを抑えることは出来なかった。しかも彼女もそれを望んでくれたのなら無いことにするなんて無理だった。 彼女を横抱きしながら自身の部屋へと連れ込んだ。そして宝物を扱うようにベッドにその身を横たえた。 (彼女が俺のベッドにいる) 何故かそんなことだけでも込み上げるものがあった。 彼女の長い髪がシーツに放射状に散らされている。それを押さえつけないように梳くって横に流した。 彼女の上に跨り彼女の表情を窺おうとした。しかし薄暗い部屋の中ではっきりと見えなかったのでサイドテーブルに置かれている間接照明を点けた。 淡いオレンジの光が彼女をぼんやりと映し出した。そしてその光に反射して潤んで見えた瞳にドキンとした。 (めちゃくちゃ綺麗だ) こういう状況で彼女の顔を見たことはなかった。まさかこんなにも神秘的なものになるとは思わず一瞬怯んでしまった。 いうなれば今の彼女は聖女のような雰囲気を纏っていた。そんな彼女に対し俺がこれからしようとしていることがとても罪深いもののような気がして思わず腰が引けた。
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