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(こんな状況、初めてだ)
ベッドに押し倒してその先に進むことを怯んだり、罪悪感を抱いたことなんてなかった。欲望の赴くまま相手を抱くことに一切の躊躇いなんてなかった。──なのに
「……榛名さん?」
「!」
不意に頬に柔らかくて温かいものが触れた。彼女の掌だった。押し倒されたまま動かなくなった俺に不安を覚えたのだろうか。
「どうしたの」
「……あ……いや」
「……」
彼女は俺の目をジッと見つめて、そして徐に両腕を首に回して俺を引き寄せた。
「ら、蘭ちゃん?」
「躊躇わないで」
「──え」
「榛名さん、今、戸惑っているんでしょう?」
「っ、なんで分かるの」
「分かるの。……だって」
だって──と言った彼女はそこから先を中々話そうとしなかった。
引き寄せられ抱き合うように密着している彼女の体からはなんともいえない甘い匂いがしている。その匂いが俺の中の欲に絡みついて大きくなって行くのが分かる。
(~~~っ、もう無理だ!)
彼女が話し出すまで我慢が出来ず彼女の首筋にキスした。
「あっ」
彼女があげたその声が引き金となって先刻まで感じていた迷いを吹き飛ばす勢いで性急に彼女を求めた。
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