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仄暗い空間で聞こえるのは熱のこもった互いの息遣いと淫靡な水音。
箍が外れた俺は容赦なく彼女に欲望を突き付けた。そんな俺からされることに彼女は恥ずかしがりながらも受け入れてくれている。それに気をよくした俺は彼女を貪ることを止められずにいた。
「あ……あっ」
俺の手によって翻弄されている彼女が吐き出す声はどこまでも甘い。そして欲望を突き付けられてるその顔は息を飲むほどに艶やかに色っぽく乱れている。
(君は今、何を考えている?)
知らなかった彼女のその表情は俺の中の道徳観を激しく揺さぶった。
(優しくしたいのに)
俺の一挙手一投足に彼女がいちいち嬉しい反応をするから益々つけあがってしまう。彼女の反応や表情だけを見ていれば俺のしていることに対して畏怖や嫌悪感などはないようにみえるのだが──
(本当に気持ちいいって思ってくれている?)
情けないがそんなことを考えたりもする。その気持ちの出所は彼女の心の声が先刻から全く読めなくなってしまっているところから来ている。
何故急に聞こえなくなってしまったのか分からない。聞こえないと分かった時はそれでもいいと一旦は気持ちを封じ込めたが、聞こえなくなったらなったで困惑することも多くなった。
「蘭ちゃん……挿入れても……いい?」
初めてといってもいいぐらいに時間をかけて丁寧に前戯を施した。愛おしくて堪らない彼女を大切にしたいという気持ちの表れではあるが、それでももう限界だった。
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