flavorsour 第一章

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まんまとしてやられた感はあったけれど、でも場合によってはよかったのかもしれない。 これからどういう形で彼と接触して行くのかは分からないけれど、とりあえずは私が蓮と花咲里の防波堤になることが出来る。 仮に彼から誘われたらその都度諭せばいい。 同性愛に関して偏見はないけれど相手は既婚者。既婚者を好きになってもその先にあるのは双方にとって幸せな未来ではない。 好きな気持ちを無くせとは言わない。だけどその思いを増幅させ、相手にぶつけることはしないように──と。 (不倫はダメ、絶対!) それは蓮のことに関してだけではなく全ての恋愛に対していえることだ。 (そうよ、正論だわ) 正しいことを述べるのに躊躇いはない。不思議とこの頃になると連絡、来るなら来いや! ──なんて意気込みまで生まれていた。 ピン! 「ひっ!」 タイミングよく鳴った着信音に変な声が出てしまった。慌ててベッドに置いていた携帯を手に取り画面を観ると其処には【榛名邦幸】の表示。 (い、いきなり──?!) あまりにも早過ぎる彼からの連絡に無様なほどに驚いてしまったのだった。
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