flavorsour 第一章

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そんな理由で私と結婚したいだなんて失礼極まりない話だ。勿論そんな理由で結婚なんてしない。 (そうよ、しないわよ) 『君は俺のこと、どう思っている?』と訊かれた返事をしていなかった。だから何とも思っていない、そんな理由で結婚なんてしないとズバッ!と言ってやろうと思った──のだが。 「要はさ、お見合い結婚だと思ったらいいんじゃない?」 「──え」 断りの言葉を吐き出そうとした矢先に遮るようにいわれた言葉。 「お見合い結婚って結婚してから恋愛するものだっていうじゃない?」 「……」 「好きという感情がないまま周りに流されるように結婚しても、結婚してから恋愛関係になって愛情が芽生えてお互いを思いやるようになる」 「……」 「そういう結婚もいいと思わない?」 「……何、を」 どこをどう解釈すれば今の私たちの立場がお見合い結婚と同義だというのか。 何故そうなるのか理解に苦しむ。第一、此処に来た時は彼との結婚なんて一切意識していなかった。 彼から一方的に結婚を求められて混乱して、そしてその理由が蓮の代わりにという不謹慎なものだ。 「結婚してから恋愛、いいと思わない?」 「全然いいとは思い──」 「確か……ご両親もお見合い結婚だったんだよね」 「!」 (……え) 若干の怒りが湧いた頭に入って来た彼の言葉。 (何故それを知っているの?!)
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