flavorsour 第一章

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(あぁ~~~なんだか頭の中がぐちゃぐちゃ!) 今更なにを言ってももうこの人と暮らすことは決まってしまった。結婚前提での同棲──いや、同居することが親公認で認められたのだ。 この人が何度も両親に向かって口にした『蘭さんを必ず幸せにします』という言葉。それは本来ならとても幸せな言葉のはずなのに──…… (恐らく『蘭』の部分は『蓮』に置き換えたかったんだろうな) そんなことを思うから素直に嬉しく思えなかった。 「本心だよ」 「──え」 ずっと黙っていた彼が口にしたのはまたもや私が頭の中でもやもやと考えていたことに通ずる言葉だった。 「俺、ちゃんと蘭ちゃんを幸せにするから」 「……」 「まぁ、もし一緒に暮らしてどうしても蘭ちゃんが俺のことを嫌だと思ったらその時は何もなかったように同棲解消するから安心して」 「………」 あっけらかんとそんなことを言う彼に一瞬背筋がゾッとした。 一見私主導で事を進めてもいいと言われたような気がしたけれど、よくよく考えれば私には同棲解消という選択肢はないように思われた。 彼が蓮のことを好きでいる以上、何があっても私を手放すことはないのではないかと……そう思えてしまったから──。
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