flavorsour 第二章

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もう聞きたくない! 何も知りたくない! そう思って耳を塞いでもソレは直接頭の中に響くのだから聴力云々とは関係がなかった。 これからこんな悪夢のような日々を生きて行かなくてはいけないのかと思ったら嫌になった。いとも簡単に【死】を意識させる現象に悩み、辟易していた俺はある時不意に気が付いた。 (……あれ、でもどうしてこの人の声しか聞こえないの?) そう。俺の頭の中に声が響くのは母を除けばその警察官だけだった。主治医である医者やカウンセラーというおじさんやその他大勢、俺と接する人の声は一切聞こえてこなかった。 それは何故なのか分からなかった。 子どもの俺には何が違うのか分からなかったが、それでもその警察官だけを我慢すればいいのだと思ったら随分と気が楽になったのだった。
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