flavorsour 第二章

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コイツ マジムカツク (……え) ある日突然頭の中に響いた声。忘れかけていた感覚が戻って来るようなじっとりとした嫌な感じがした。 「幸雄、何か言った?」 「え、何かって」 「誰かムカつく奴でもいた?」 「……」 高校生になっていた俺には仲良くなった友人がいた。気さくなお調子者キャラで俺とは真逆な性格をしているのに妙に馬が合った。 何をするのもこいつとなら楽しめた。そしてこの友人──幸雄(さちお)にならなんでも話せる親友だと思っていた。 そんな幸雄から突然発せられた心の声。それに驚愕した。 ナンダヨコイツ イキナリコワイヨ 「……幸雄?」 「なーに突然変なこと言ってんだよー。ムカつくって何? 誰に?」 「……」 「それより早く行こうぜ。もう邦幸を紹介しろって煩いんだよなーあいつら」 「……」 ナンデ コイツバッカ モテンダヨ マサカ エリマデ コイツトツキアイタイトカ イイダサナイヨナ エリハ オレガ ネラッテンダヨ アァー ホントコイツ マジウザイ (……) その日を境に俺は幸雄と距離を取るようになってしまった。
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