flavorsour 第二章

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もしかしたら君は俺に幸福をもたらしてくれるのではないか、と。 善良な人間の周りにはそれ相応の人間が集まる。勿論、中には善良な人間を騙したり貶めたりする輩もいるかもしれないが、でも…… (彼の周りの人たちはいい人そうだ) それが今まで彼の心の声を聞き分析して来た結果、得たものだった。 そんな彼の双子の妹。彼の女版がこの世に存在するのだと知った瞬間、思わず心の中で神様に手を合わせた。 まだ直接会ったことも見たことも喋ったこともないが、既に俺の中では双子の妹に対する期待値が最大限に膨れ上がっていた。 「本当にいい奴なのに何故か縁遠くて……早くいい人を見つけて幸せになってもらいたいんですが」 「そっか……」 彼から語られる双子の妹──伊志嶺蘭は相当いい女らしい。なのに今まで恋愛に関する浮いた話はないと来た。 (完璧過ぎて近寄り難いという感じなのか?) あれこれと想像してこれは中々の難攻不落な聖女タイプかと思ったが、彼の双子の妹という肩書だけで俺は何が何でも手に入れたいと思ってしまったのだった。
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