flavorsour 第二章

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迎えた伊志嶺くんの結婚式当日。少し早い時間に会場入りした俺を出迎えたのは一緒に受付を担当する彼の双子の妹だった。 「初めまして、伊志嶺蓮の妹の蘭です」 「……」 (おいおいおいおい……) 目の前にいる彼女は伊志嶺くんの双子の妹とは思えないほどの極上の美女だった。 男女の双子ということで二卵性だと分かってはいたが、こうまで顔の作りが違うのかと心底驚いた。 「あの……」 「っ、あ、えっと、伊志嶺くんのひとつ上の先輩社員の榛名邦幸です」 見るからに動揺しているだろう俺に彼女はにっこりと微笑んだ。 「いつも兄がお世話になっています。本日はよろしくお願いします」 「あ、はい。こちらこそ、です」 俺に向かってお辞儀するその所作さえも美しいと思えてしまうほどの完璧さ。 (え、本当に伊志嶺くんと双子?) 話せば話すほど、見れば見るほどにその事実が信じ難くなって来るような女性だった。 なるほど、これだけの上玉なら普通の男ならおいそれと声をかけるのは躊躇われるだろう。遊び目的で声をかけるには上等過ぎる。 よほど自分の容姿に自信のある男か、身の程知らずのお馬鹿男のどちらかくらいしか声をかける度胸はないだろう。
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