flavorsour 第二章

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俺自身、こんな状況じゃなければ決して近寄ったり声をかけたりはしないタイプだ。 (あー……ヤバい) 想像していた以上だった伊志嶺くんの妹に対して少しだけ腰が引けた。 失礼ながら伊志嶺くんと双子なら──と、その容姿に大体の目安を立てていた。 期待はしていなかったが見た目に然程の理想があるわけじゃない俺はその心根が伊志嶺くん同様に清廉ならきっと惚れてしまうだろうし、何が何でも手に入れたいと思っていた。 ──それなのに (結構な計算違いだった) 会場に人が増えて来ると共に自然と彼女の周りにも人が増えて行った。彼女は誰に対してもにこやかに、そして双子の兄である伊志嶺くんのことをこれでもかと褒めちぎっていた。 (……ん?) そんな彼女の様子を観察しているうちに何故か違和感を覚えて来た。 一見違和感を覚えるようなところは何もないように思えたが、何故か彼女が伊志嶺くんの話をすればするほどに彼女の顔が微かに歪んで行くような気がした。 (なんだ?) その瞬間── ホントウニ ワカッテイルノカシラ! (!) 突然俺の頭に流れ込んで来た強烈な思念。それを感じた時、一瞬にして鳥肌が立った。
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