flavorsour 第二章

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その心の声は彼女のものだった。 (嘘……だろう?) 出会って間もない彼女の心が聞こえたことに心底驚いた。確かに他の他人の時よりは事前に様々な情報を得ていた訳だからその関心度は高かったのだろうが…… (いやいや、それにしたってこんなにすぐに聞こえるとか!) 想像していた彼の妹像とは違っていたことも彼女に対する関心度が増した原因なのかもしれない。 でもだからといってまだ表面上の印象も定まっていない中での本音を知ってしまうことになるのはちょっとした計算違いだった。 (……いや、でもかえってよかったのかな) もし万が一、彼女が伊志嶺くんのような清廉さを持っていなかったとしたら深入りする前に早々に諦めることが出来るかもしれない。 いくら彼の双子の妹とはいえ心の中まで双子というわけにはいかないのだから。 (うん。そうだよな、そうだよ) 傷は浅い方がいい。大したショックにもならないだろうと開き直ってしまうと遠慮なく彼女の表面上の顔と心の中の本音との差をじっくりと観察し始めた。
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