flavorsour 第二章

36/51
前へ
/402ページ
次へ
「いやぁ蘭ちゃん、久しぶりだねぇ。相変わらず美人さんなのに先に蓮くんが結婚しちゃうとはねぇ」 「顔の美醜と結婚の順番は関係ありませんよ」 アナタニ レンノヨサハ ヒャクネンタッテモ ワカライデショウネ! 「しかしとんでもない猛者がいたものだね。あの蓮くんと結婚しようなんて。気を付けた方がいいんじゃないか? 財産目当てとか……ねぇ」 「彼女は兄のいいところを沢山知って結婚を決めたんです。決して財産目当てなんてことはありませんよ」 コンドハ カザリニマデナンクセヲツケルキナノ? ドウシヨウニモナイワネ コノハゲヅラオッサン! 思わず吹き出しそうになるのをグッと堪えた。 (おいおいおい……凄いな、この子) 表面上は丁寧且つ柔和な笑みを湛えながら来客の軽口を交わしているが、心の声は面白いほどに辛辣だった。 今までにも見た目と心情にギャップがある女性は沢山いたが彼女の場合、あるキーワードにのみ過剰に反応し悪態をついていることに気が付いた。 ドウシテミンナ レンノヨサガ ワカラナイノカシラ アァ…… カザリガウラヤマシイ レントケッコンデキルナンテ ウウン ダイスキナフタリガケッコンスルコトハ トテモウレシイ デモ…… サミシイトオモッテイルワタシモイルノ (……) なんだか彼女の心の声を聞いていると酷い罪悪感に駆られてしまう。
/402ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1805人が本棚に入れています
本棚に追加