flavorsour 第二章

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合コンという名の飲み会が終わり彼女はひとり駅に向かって歩いて行った。 彼女の帰りの足が電車ではなくバスだと知っていた俺はさり気なく友人たちと別れ急いで彼女が向かった駅へと急いだ。 (電車にしろバスにしろひとりで帰らせるのは危ないだろう) さほどアルコールは摂取していなかった彼女だったが、それでもカクテル一杯でほんのり頬を染めていたその姿は堪らなく魅力的だった。 (あれ、狡いよなぁ) 彼女自身は無意識なのか、無駄に男を誘うような色気を振りまいていた。一瞬聞こえてしまった一緒にいた友人たちの心の声は彼女に対する性的な気持ちで溢れていた。 彼女を性の対象として妄想の中で卑猥な声を上げる様に吐き気がした。 (あー頭カチ割って脳みそ引きずり出してやりてぇ) 思わず隠していた凶暴性が表に出てしまうのをなけなしの理性で抑えた。 そんな経緯があったからこそ彼女をひとりにするわけにはいかないと変な正義感が芽生えてしまった。 (ってか、俺も大概だけれどな) 俺自身も一瞬抱いてしまった背徳感を棚に上げ彼女の元へと急いだ。 駅構内のベンチに座っている彼女を見つけて胸を弾ませた。遠回しに見ていれば何か考え事をしているのか、ぼんやりとしている彼女に対して行き交う男共は不躾な視線を送っていた。 (おい、見るんじゃねぇよ!) その視線だけで彼女が穢されるような気がして驚くほどに腸が煮えくりまくった。
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