flavorsour 第二章

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どうすれば彼女の気が引けるのか、そんなことを考えていると ヤッパリ アノヨウシハ イタダケナイ (……ん?) 彼女が何か楽しいことを考えようとしているところに出て来たのは意外にも俺だった。 (え、俺のこと、考えている?!) 初めて会った時から今日の合コンまでの俺とのことを彼女が考えている。 どうやら彼女は猫を被っていることを示唆するような発言をした俺のことが気になっているようだ。 アノヒト ドウイウヒトナンダロウ (え、え、えぇぇ──!) 今、彼女の頭の中は俺のことでいっぱいになっている。勿論この時点での俺に対する彼女の評価は得体の知れない男という程度でしかないのだが。 (それでも嬉しい!) どんな感情であれ、彼女の意識下に俺の存在があるというだけで堪らなく嬉しかった。その嬉しさが溢れてしまい、思わず笑いが込み上げてしまった。 「……え」 ようやく現実世界での俺の存在に気が付いた彼女はそのままフリーズした。そんな彼女に対して懸命に冷静さを装い「家まで送って行くよ」と告げた。 勿論彼女は断る。だけど俺は引き下がらない。何故かこの機を逃してはいけないと本能が訴えている。 言葉のやり取りの間にも彼女の頭の中は忙しく色々と考えている。それを俺は申し訳ないと思いつつも覗いてしまっているのだった。
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