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始めからこんなに一緒にいたいと思った女性はいなかった。
心の本音の声が聞こえてこんなに面白かったことはなかった。
こんなにも心の底から欲しいと──強く願った女性はいなかった。
そういった意味でも俺にとって伊志嶺蘭は特別な女性になった。
そこから彼女をものにするにはどうしたらいいかと思案を始める。きっと正攻法で行ってもダメだろう。今はとにかく彼女の中に俺という存在を強く刻み付けることが先決だと思った。
好きよりも嫌い。
愛情よりも憎しみ。
恐らく彼女を多少傷つけるくらいのことをしたり言った方がいいだろう。
「そんなに警戒しなくてもいいよ。こんな見た目でも俺、好きでもない女の子を襲ったりしないから」
軽いジャブ程度の言葉を投げかけると案の定彼女は俺に対して嫌悪感を露わにした。
（お、いい調子）
勿論本当に嫌われてしまっては元も子もないのでその辺の調整は慎重にならなくてはいけない。
そうして彼女の好きそうな伊志嶺くんの話をし出したらあっという間に俺に対しての嫌悪感を失くした。
（あー本当、分かり易いな）
これほどまでに何をどうすればいいのかが分かる女性も珍しかった。
彼女は本当に心根が素直なのだろう。そういうところは流石双子だと感動すら覚えた。
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