flavorsour 第二章

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そして対峙する相手がそんな調子だと俺の方までつられて素直になってしまう。 (偽らないことがこんなに楽だとは) を境に素直な気持ちを表に出すことが怖かった。そんな呪いのような封印がもしかしたら彼女によって解かれるかもしれないという期待感に胸を躍らせた。 コノヒト ヒョットシテ レンノコトガ…… (……ん?) バスを降り、彼女の自宅へ向かっている道中でいきなり彼女がとんでもない思考を始めた。 マァ…… レンニホレタトイウテンニオイテハ チョットミナオスケレド ベツニワタシ ドウセイアイニカンシテハ リカイガアルホウダシ (は……はははっ) 思わず盛大に吹きそうになった。まさかこれまでのやり取りでそっちの方向に考えが行くものだろうか。 いや、普通は行かないだろう。 普通の女性は(ひょっとしてこの人、こんなことを言っているけれど私に気があるんじゃないの?)的方向に行くと思うのだが。 今までの経験上ではそれが正解。なのに──…… (俺、同性愛者だとか思われてんの?) いやはや、彼女は本当に俺の予想の何倍も斜め上を行く女性だった。
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