flavorsour 第二章

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満天の星空の下、漆黒の闇は俺のニヤけた顔を隠してくれるのに都合がよかった。 「ふふ~~ん♪」なんて鼻歌まで出てしまう有様だ。 彼女を家まで送り届けて無事に連絡先を交換することが出来た。 (彼女にとってはかなり不本意なやり取りだっただろうけど) そう思いつつも悪いことをしたとは微塵も思っていない。 その時には既に彼女をどんな手を使ってでも手に入れようと決めていたのだから。 今日という日は本当にラッキーだった。 俺も彼女と似たような状況で参加した合コン。其処にまさか彼女がいたのは本当に運命的だと思った。 こんな奇跡のような偶然、そうそうないだろう。それは彼女が俺にとって運命の女性だと思っていいほどのシチュエーションだ。 (まぁ、彼女は俺のことを盛大に誤解したままだが) ひょんなことから伊志嶺くんのことが好きで彼女を利用しようとしている男認定された俺。冗談みたいな設定だがそれを利用しない手はない。 (だって正攻法で迫ったって振り向いてくれないんだろう?) 彼女の本音を聞けば俺は彼女にとって全くといっていいほど理想の男ではないのだ。 好きでも嫌いでもない、ただ大好きな双子の兄の先輩という位置でしかないのなら盛大に嫌われて危機感を覚えてもらった方がいい。 (まぁそれがどう転ぶか分からないが) 一種の賭けのような状況を自ら作ってしまったことは少しだけ後悔した。 果たしてこれから先、彼女が俺に対してどう気持ちの変化をして行くのかは神のみぞ知るところだ。
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