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「自分でも出来るように、あえてシンプルなメイクにしといたわ。今日使ったメイク道具とコスメ持って帰って続けてちょうだい」
「ええっ、それはあまりにも申し訳ないです。お金払わせて下さい」
「あはは、気にしなくていいわよ。スポンサー様がちゃんといるから。あ、戻ってきたわ」
え?スポンサーって、まさか課長のこと!?
「ちょうど華ちゃんのメイク終わったとこよ。・・・で、アニキ、感想は?」
「印象が変わったな。よく似合っている」
銀縁眼鏡の縁に指先で触れながら、原田課長はそう答えた。
「ホントは好みどストライクなくせに、素直じゃないわね」
えっ!?私が課長の好み?
いやいやいやいや、まさかそんな。
手がかかる部下くらいにしか思ってないでしょ。
あれ?なんで私こんなに動揺してるんだろう。
そもそも私は田中くんが好きなんだから、課長の好みかどうかは関係ないはずだよね。
うん、そうだ。
きっと目まぐるしい展開についていけていないだけなんだ。
自分を落ち着かせるために、そう必死に心の中で唱え続けた。
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