再会

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再会

二週間後。佳亮はやはり仕事の帰り遅くなってしまい、急いで道を歩いていた。駅からマンションを越したところにあるスーパーの閉店時間がもう直ぐで、店員さんには嫌われるだろうけど、駆け込みで買い物をしようと思ったのだ。 途中、コンビニの前横切ろうとしたとき、やけにその店に似合わない赤のフェラーリが止まっているなあと駐車場の車を何気なく見た。そのとき、丁度店から出てきた人は、まさにこの前、夜のあのコンビニの中で一緒になった人だった。なんて言ったって、同じ黒のコート、黒のハイネック、同じニット帽を被っている。見間違えるはずがなかった。その人はコンビニのビニール袋を手に提げて、駐車場に止めてあったフェラーリに乗り込んだ。そのまま、車は排気音を轟かせて駐車場を出て行く。カッコいい人は乗る車もカッコいいんだな、と思いつつ、佳亮はつい、駐車場の手前でその車が走り去るのを見送ってしまった。
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