逆さの虹

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ただひとつ大きな問題は、そう、反重力システムについてだ。 これはもともと何のために設置されているのか? 正直なところ僕でもさっぱりである。 このシステムは町中の道路ばかりか野原なんかの地中奥にも設置されているようで、でも普段の生活においては何も支障はない。 けれどこのシステムはある条件によって起動するように設定されている。 その条件とは? 答:雨。 これでわかっただろう。 そう。僕の住まう場所には雨が降らない。 いいや、一応は雨が降る。けど降らない。 それは”地面には降らない”という意味でだ。 そういう意味では”降らない”のだし、むしろ”昇る”とさえ表現できるだろう。 どういうことか?オーケー、流れを説明しよう。 聞くところによると、普通の場所とやらではめっぽう事情が違うらしいから。 ここみたいに雨と反重力システムがリンクされていない土地なんかでは、雨というのは空から下に向かって落ちていき、地面その他もろもろを濡らすそう聞じゃないか。けったいなもんだね、まったく。 でも僕の土地では、これまでの話を聞いていたんなら分かるだろうけど、まったくの逆だ。
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