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なんともまあ奇妙に聞こえるかもしれないが、それはここに住まない人たちが雨が空に降ることに慣れてないだけの話だろうから、まあとりあえずは落ち着いてほしい。
僕だって最初、雨は空から地面に向かって降ると聞いたときにはギョッとしたもんだ。
だって空から地面に水が降る!?
どういう状況だよ……僕もまあ頑固なところがあるから、実際にこの目で見るまでは信じなかったよ。
だから多分、この話を聞くあなたも同じような心境なんだろう。
多分。
慣れてしまえば雨が空に向かって降るというのもごく自然な事に思えてくる。
もしその光景がいますぐにでも想像できないって嘆くなら…うーそうだな、じゃあこう思ってほしい。
大きく足を開いて屈伸体操のように前屈して。
そのとき両足の間から、自分の股越しに世界を眺めているのだと。
見える景色では、すべてのことが逆さまのはずだ。
その視点から雨を見ていると、そう思えばいい。
しかし少年はどうしてこの土地にはそのような妙ちきりんな装置が組み込まれているのか、その理由をまだ知らない。
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