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その日、雨は一向に止みそうにもなかった。
雨はざあざあと天に向かって降り続け、傘もささずに外で過ごすことのできる少年はまだ知らない。
その昔、土地の領主から難問を出された科学者が、その問に答えるべくして作り出したのがあの装置だということを。
そして、その結果が少年以外の元住まう者たちを消したのだということも。
町の中央には立て札があった。
そこにはこう書かれている。
”降る雨に濡れるべからず”
雨に濡れぬ少年は、しかし同時に地に足を着けたこともない少年だった。
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