1 変わらない日々?

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1 変わらない日々?

最近ますます暑くなり、季節の移り変わりを感じる。 そんなある日の事だった。 感染症の蔓延により、外に出ることが極端に減っていた。 その影響で昼夜逆転生活が日常と化していたのである。 今日も目が覚めると、時計は5時を指していた。 「もう夕方か……」 窓の外は少し暗い。 「……ちょっと早いけど飯出来てるかな?」 俺は大学2年だが、自宅通いなので飯はだいたい親が作ってくれる。 少し気怠さはあったがリビングに向かう。 すると、電気が消えていて誰も何も無かった。 「あれ? おかしいなぁ……この時間なら丁度作ってる最中ぐらいだと思ったんだけど」 頭を少し搔く。 「しょうがない、適当に自分で作って食うか」 炊飯器を確認すると米はあった。 ならおかずを適当に見繕えばOKだろう。 基本的に食に疎い俺は腹に溜まれば満足する人間なので、それで事足りるのだ。 「じゃあ、作るか」 一通り食事を済ませ、自室へと戻る。 ふと、窓の外を見ると異変に気づいた。 「なんか、明るくないか?」 現在時刻は7時を指していた。 いくら夏に近づいているとはいえ、こんなに明るいわけがない。 「もしかして……?」 俺は時計ではなく、スマホの画面に表示される時間を確認した。 「朝の……7時」 どうやら夜明けと夕暮れの境の暗さとアナログ時計にすっかり騙されていたらしい。 「……嘘だろ」 まさかここまで生活リズムにズレがでているとは。 我ながら情けなくなってくる。 そんなことを思っているとLINEの通知音が鳴った。 「誰だ? こんな朝早く送ってくるやつなんていないはずなんだが」 送信者の名前を見た時、思わずスマホを閉じてしまった。 「いやいやいや、え? なんの悪い冗談だ?」 俺は恐る恐るもう一度スマホの画面を開いた。 そこには確かに元カノの名前と付き合っていた当時によく送られてきていた朝の文面が来ていた。 『おはよっ!! 起きてる?』 本当になんなんだろう。 タチの悪いイタズラか? 罰ゲームで元カレにメール送るみたいなやつか? そんなことを考えてると、次のメッセージが飛んできた。 『まだ寝てるの? 今日は8時半にウチ来る約束だよ! 忘れてないよね!?』 「あ、そういう事か」 俺は来たメッセージに返信した。 『お前、送る相手間違えてるぞ。 朝から迷惑な奴だな』 と送ると、すぐに間髪に入れずにメッセージが来た。 『え……? ごめん??』 『まったく……次は気をつけろよ』 『えーっと……もう準備は出来てるって事でいいの?』 「……は?」 何を訳の分からないことを言ってるんだこいつは。 『何の事だ?』 『ウチ来る準備?』 『笑えない冗談を言うのはやめろよ』 『冗談……? 昨日約束したよね、明日会うって』 ……どうやらこいつは本気で言ってるらしい。 昨日こいつと連絡を取りあった覚えはないし、第一に俺は別れてから一度も連絡をしたことは無い。 「どういうことなんだ、これは」 もう一度スマホを見て、指を動かす。 『本当に約束したんだな?』 『したってば!』 なんか騙されてる気がするが……。 「はぁ」 『分かった、すぐ行く。変なこと言って悪かった』 『うん……待ってるね』 スマホをベッドに投げて、洗面所に向かった。 1番冷たい水で顔を……いや頭ごと濡らした。 「朝起きたら、ちゃんと顔洗わないとダメだな」 まだ頭が寝ぼけていたらしい。 身だしなみを整えて、自室へと戻る。 再度、スマホのトーク履歴を確認する。 「やっぱ、あるわ」 今までのことが、すべて夢現ということであればよかったのだが。 そうはいかないらしい。 現在時刻は8時10分。 「はぁ、気乗りしないけど行くか」 結局半信半疑で俺は元カノの家へと向かうのであった。 続く
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