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勢い良く襖を開くと、ビクッと肩を揺らして真っ赤な顔をした響が驚いたようにこちらを見た。
瞳を少し潤ませて迷子のように視線をさ迷わせる響が可愛くて、色っぽくて。
少量の酒では酔わないはずが、何故か酔ったように頭がくらくらした。
「な、どうして…」
「ん?何がだ?」
わざとはぐらかして微笑むと、ぐっと言葉を詰まらせた響が恨みがましい目を向けてくる。
「もう一度、練習してみろ。直接教えた方が分かりやすいだろ?」
「……。」
襖を後ろ手に閉めて、響の隣に腰を下ろした。
「ほら、やってみろ。」
「……遊んでますね?」
「いいや。」
響。と呼んで促すと、諦めたようにため息を吐いた響は、真っ暗になった画面を触り俺に電話をかけてきた。
──RRR…RRR…
俺のスマホからコール音が鳴り響く。
うまく出来たことを褒めるように、そっと響の頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに睫毛を揺らせた。
ドクン。
心臓が跳ねる。
誘われるように彼女の頬に手を伸ばすと、無防備な顔をした響がこちらを見た。
少し開いた唇から覗く赤い舌を味わってみたくて、逃げられる速度で俺はゆっくりと響に唇をおとした。
「んっ……んん…」
口内に侵入した俺の舌を、彼女は拒むことなく絡め返してくる。
響の舌はイヤらしく動いて、俺もそれに応えるように舐め返す。
夢中で舌を絡めていると、そっと俺の頬に彼女の両手が添えられた。
求められているような仕草に、堪らず細い身体を抱き締めて限界まで舌を挿し込み激しく出し入れすると、鼻にかかる甘い声が漏れ聞こえてきて興奮を煽った。
「んんっ、ふぅ……んぁ……んっ」
「はぁっ……」
口を離すと、トロンとした響の顔が目の前に広がっている。
どこか儚げで、キレイで、可愛い響のもっと色んな顔が見たい。
しかし、欲望のまま手を出して良いのかと疑問が頭をよぎる。
涎で妖しく光る彼女の唇をそっと親指でなぞって、気持ちを落ち着かせるように息を吐いた。
「…ゆっくり休めよ。練習もほどほどにな。」
ポンポンと頭を撫でて、もうしないの?と訴える視線を振り切り俺は部屋を後にした。
廊下に出て、置き去りにしていた酒の入った瓶ごと口につけて、グイッと一気に飲み干した。
身体にともった熱は、酒のせいだと言い訳する為に……。
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