優しすぎる雨

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優しすぎる雨

急に雨脚が強くなり、店内は雨宿りをしにお客さんがちらほらと入ってきた。 「今までありがとう。さようなら」 そう言って彼は店を出ていった。 わたしは彼を追いかけて呼び止める言葉が見つからなかった。 別れを告げられることを予想していたからだろう。 彼の座っていた席を見ると、傘が置いてあった。 彼の優しいところが好きだったのに 今は嫌でしかたがない。 どこで間違えたんだろう。 なんで嫌いになってしまったんだろう。 優しい彼はなぜ去ってしまったんだろう。 わたしは冷たい雨に包まれながら見つからない答えを探していた。
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