06. Addiction

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「ってことは……孝弘が言ってたのは、私たちはそのお試しの付き合い中だって意味の“付き合ってる”?」 「え……?」 孝弘が驚いた顔になり、私も連鎖して驚き顔になる。 そこで驚くということは、本気の方の付き合いだったってこと……? 「だって、誰にも紹介されてないし、本気だとか言われた記憶もないよ……?」 「いや。俺、それは言っただろ。彩香のこと本気で好きだって」 「……え」 どうしよう、まったく身に覚えがない。 孝弘からそんなことを言われていたらまず間違いなく舞い上がるし、忘れるはずがない。 それに、本気で好きだと聞けば、流石に「彼はちゃんと付き合う気があるんだ」と認識していたはずだ。 「それって、いつ? まさか最初に会った日とか……?」 真っ先に思い浮かんだのはそれだった。 孝弘に初めて会った夜。結構酔っていたこと、これまで味わったことのない快楽に揺さぶられたこともあって、最後の方は記憶が怪しくなっているから。 しかし、彼は首を横に振った。 「マジで覚えてないのか……」 「ごめん……殴る……?」 「遠慮しとく」 これでもしお互い殴り合ったら『走れメロス』だな、なんてしょうもないことを考えて現実逃避。 必死に記憶を辿るけれど、本当にまったく思い出せない。 「金曜……彩香がうちに泊まりに来たとき。寝る前に、“彩香のこと本気で好きだ”って言ったら、彩香は“私も”って答えた」 「えっ!」
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