06. Addiction

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久しぶりのぬくもりにほっとして身体から力を抜きながら、孝弘の腰のあたりへ緩く腕を回す。 彼は私の髪を優しく撫でて、こめかみのあたりに軽く頬を寄せた。 「若干、聞きたくない気もするんだけど」 「うん?」 「彩香、俺と付き合ってないと思ってたなら、俺のことなんだと思ってたわけ」 「…………」 そこをツッコまれると、ちょっと痛い。 でも、これ以上会話不足で誤解やらすれ違いが発生するのは避けたいので、腹を括ることにする。 「……なるべく怒らないでほしいんだけど」 「うん、怒らないから言って」 「……めちゃくちゃ待遇がいいセフレみたいな感じかと思ってました」 言い切った瞬間、孝弘が軽く吹き出した。 「なにそれ」 「いや、だって……孝弘遊んでそうな感じはしないけどモテそうだし、私一般人だし、会った日に誘いかけるとか、本命にはなりそうにない行動しちゃったし。……むしろなんで、孝弘が本気で好きになってくれたのかがわからない」 「んん……なんかその辺も色々ズレてそうだから1つずつ答え合わせしていこう」 「はい」 抱擁を解かれて、少しぬるくなったお茶を手に、近い距離で向かい合って座る。 「まず、俺はそんなにモテない。売れはじめてからは、声掛けられることも確かにちょっと増えたけど、そういうのはモテてるってのとは違うしな。あと、芸能関係の仕事してるからって、全員が全員遊び人でもない。ここまでOK?」 「……OK」 ……正直、孝弘が気付いてないだけで、普通にモテてるとは思うけど。 彼が好意に気付いていないなら、それだけライバルが少なくて済むということだし、一旦そっとしておく。 「それから、初めて会った日のことな。これは、俺が彩香に聞きたい。この間言ってくれたことも含めて」 「……うん」 改めて話すとなると、かなり恥ずかしい。 大きく一口お茶を飲んで、私は孝弘から少し視線を外し、口を開いた。
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