06. Addiction

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「直球に言うと、孝弘がかなりタイプでした」 「……顔が?」 「顔もだけど、全部。最初はクールな人なのかなと思ったけど、笑った時に雰囲気が柔らかくなる感じとか……意外と天然で、ちょっと可愛くて面白いところとか、すごくいいなと思って」 「…………」 「飲んでる時から、また会えたらいいなぁとか思ってたんだ。それで……送ってもらった時に、ちょっと欲が出て。このままお別れは嫌だな、まだ一緒にいたいなとか思って、つい。……あー、待って、恥ずかしいこれ」 「…………」 マグカップをテーブルに戻し、両手で顔を覆ってソファの隅っこに倒れ込む。 孝弘の顔が見られなくて、顔を覆ったままモゴモゴと続けた。 「あとは、この間電話で言った通り。金曜は1人で飲むことが多いけど、ただ美味しく飲んでるだけだし、あんなことしたの孝弘が初めて。……それくらい、孝弘に惹かれてた」 「…………」 「以上、です……」 指の隙間をあけて、沈黙している孝弘の様子を片目で見てみる。 彼もいつの間にかマグカップをテーブルに戻して、目元を片手で覆っていた。 「あの……何か言ってほしいいんだけど」 「……ヤバい」 「ごめん、なんか初っ端から重くて……」 「そうじゃなくて。……ギュンってきた」 落ち着かない様子で胸元をさすっている彼。手の影から見える少し色白の頬は、ほんのり赤みを帯びているような気もする。 「あー……ほんとにヤバいな、彩香。中毒性が半端じゃない」 おもむろに立ち上がった孝弘は、私のすぐそばに腰を下ろして、ずいっと距離を詰めてきた。 「顔、見せて」 「無理」 「頼む」 手首をそっと掴まれて、優しいけれど強い力で顔から離される。 きっと赤くなっているだろう私を見つめた孝弘は、(とろ)けるような笑みを浮かべた。
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