9205人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どうしよっか。続き、見る?」
「んー」
悩むような声をあげた孝弘は、画面を1つ戻して各話の内容説明を見る。
「次、2話連続っぽいからまた今度にしよう」
「そうだね」
ちょうどお酒も飲み終わった頃だ。
テレビを消してグラスを片付けにキッチンに向かう。
グラスを洗っていると後ろから緩く抱きしめられて、頭の上に――頬だろうか。何かが触れる感触があった。
「また忙しくなり始めるんだけど」
「うん」
「彩香、週末以外でも来れたりするか。迎え行くし、時間合えば朝は駅か会社まで送る。無理な時はタクシー呼ぶけど」
「いや、そんなことしなくても、来れる時は来るよ。ずっと週末だけってのも無理があるしね」
私はあまり土日出勤がないけれど、孝弘の場合は土日にイベントがあったりで忙しいことも多い。
今後より孝弘が多忙になる中で会う時間を確保しようとするなら、金土日にこだわらない方がいいに決まっている。
「ありがとう」
「ううん。私も、会える時に会っときたいから」
グラスを洗い終えて、水切りの上に置く。
それを待っていたかのようにぎゅうっと強く抱きしめられて、お腹に回された腕に、私はそっと手を添えた。
「彩香」
「うん」
「……好きだ」
突然の言葉に、少しどきっとしてしまう。
「私も」と小さく返せば、首筋にキスされる感覚。
耳たぶを甘く食まれて、頬にも軽くキスが降ってくる。
最初のコメントを投稿しよう!