【第二部】01. 再出発

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先週末――すれ違いを修正してリスタートを切り、孝弘の家に泊まった。 でも、私の「待遇の良いセフレ」発言があったせいか、一応は「付き合いはじめて初日」にあたるからか、2泊ともそういう行為はなかった。 昨日もただ抱きしめ合って眠るだけで、それも穏やかで幸せな気持ちに浸れるから好きなんだけれど、それ以上も欲しくなってしまう。 「……孝弘」 振り向いて彼の首に腕を回し、自分から軽くキスをしてみる。 ぱちぱちと少し驚いたように目を瞬いた彼は、次の瞬間ニッと笑って、私を軽々と抱え上げた。 「わっ!」 毎度毎度、「よいしょ」のようなタメもないままにスッと抱えあげられるから、びっくりしてしまう。 大股でリビングを突っ切った孝弘は、私を抱えたままで器用に電気を消し、寝室へ入った。 「……いい?」 付き合いはじめてからでも、ちゃんと同意を取るあたりが彼らしい。 こういうところも海外文化の影響だったりするのだろうか、なんて思いつつ、私は小さく頷いた。 微笑んだ孝弘は、私をベッドにそっと降ろすと、部屋の隅にある間接照明を灯す。 ほわりと暖かな光が室内を優しく照らして、お互いの表情がはっきり見えるくらいの明るさだけど、これくらいなら恥ずかしさはそんなにない。 「ここ、おいで」 ベッドに腰掛けた孝弘が自分の太もものあたりを軽く叩いて示す。 座れということか、はたまた膝枕か、それ以外か。 わからずに微かに首を(かし)げると、「跨ぐ感じで」と付け加えられる。 「…………」 おずおずと、言われた通りに、孝弘の腿を跨ぐようにして向かい合わせで座る。 重くないようにと少し腰を浮かせていたけれど、ぎゅっと抱き寄せられて、身体をまるごと彼に預ける状態になった。 「重くない?」 「全然。軽くて心配になる」 私の手首を優しく掴み、直径を測るようにする孝弘。 「腕も足もほっそいし」 「そうでもないよ」 日頃から太らないように努力はしているけれど、それでもモデルなんかに比べたら普通に太いだろう。
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