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「……こっちも脱ぐか」
一旦ベッドに横たえられたかと思うと、Tシャツと同様に緩いスウェットを、下着ごとするりと脱がされ。
自分も一糸まとわぬ姿になった孝弘は、また私を抱えると先程までの体勢に戻った。
お互い裸になったことで、腿の上に座り込むことは憚られて、少し腰を浮かした状態になる。
でもそうすると、彼の目の前に胸を突き出すような感じになってしまって恥ずかしい。
迷った挙げ句、まじまじ見られるくらいなら視界を塞いだ方がまだマシ、という結論に至り、私は彼の頭を緩く抱きしめるようにして胸元に抱え込んだ。
「ん」
ものすごく大きいわけではないけれど、成人女性として相応にある胸に埋もれて、孝弘が小さく声をあげる。
「あ、ごめん。苦しくな……ぁ、っ!」
苦しくない?と尋ねようとした言葉は、熱い舌が胸元の柔い皮膚をちろりと舐めたことによって、途中で微かな喘ぎ声に変わった。
「彩香、大胆」
「ちが……、あんまり見られるの、や、で……っ」
片手は首筋から腰元まで、背中の溝をゆっくりと撫で下ろしていく。
ぞわぞわとくすぐったさにも似た弱い快感に襲われ思わず背筋を反らすと、より胸を彼に押し付けるようになってしまって、にっちもさっちもいかない。
さらに、もう片方の手は胸をやわやわと揉みつつ、時折頂をツンといじめてくるので、その度に私は身体をびくりと跳ねさせた。
……まだ、前戯も前戯なのに。
最後に身体を重ねてからしばらく間があいたせいか……いや、ちゃんと想いが通じているとわかってから初めての行為だからか。
前よりも敏感になっている気がする身体に、じわりと危機感が滲んでくる。
……孝弘とするのはただでさえ気持ちよかったのに、この調子だと私、どうなってしまうんだろう。
そんな考えは、散々指先でいじめられた胸の頂に熱く濡れた舌が絡んだことで、霧散していった。
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