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「大丈夫、っ、俺がいる」
優しいキスを落とし、そっと髪を撫でつつ、ガツガツ攻め立ててくる孝弘。
私を滅茶苦茶に抱いているのは彼なのに、縋れるのは彼しかいなくて、思い切り抱きついて背中に爪を立ててしまう。
痛みに微かに目を細めた孝弘は、うっそりと笑った。
……なんとなく前から思っていたけれど、孝弘は普段は優しいのに、行為の時はとことん容赦がない。
意図的に痛みを与えられることはない。
しかし……快楽責めとでも言えばいいのだろうか。
こちらの許容量を超えた快感を与えてくるものだから、自分でも知らなかった自分を暴かれるようで少し怖さがある。
「……落ち着いた?」
「ん……」
声音は優しく、しかし平素より明らかにギラついた表情で尋ねる孝弘に、小さく頷く。
ようやく強烈な快楽の波が過ぎ去り、私は走った後のように荒い息を吐きながら、ぐったりとして彼を見上げた。
「優しくするって、言ったのに……」
「ごめん。今挿れたらどうなるんだろうって思って、つい」
「……死ぬかと思った」
「死なれたら困るから、できるだけ優しくする」
「うん……」
先程の所業からしてだいぶ信用性は低いけれど、孝弘の理性に期待してみることにする。
しばらくは軽くキスをしたり、頭をふわふわと撫でたりして動かなかった彼は、ややあって上体を起こした。
そして、何を思ったか、私の下腹部に大きな手のひらをそっと添える。
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