02. 深まる関係

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芸能関係……? それとも、音楽関係……? どっちにしろ深く突っ込まれそうで、どう答えるか迷う。 もういっそ、ここで相手が孝弘だと明らかにしてしまうか……? いやでも、お店で大騒ぎすることになってしまいそうで、できればやめておきたい。 「工藤さん……」 私の沈黙をどう解釈したのか、御園さんが不意に深刻な表情になった。 「まさかとは思いますけど……ヒモじゃありませんよね……?」 「えっ、いや、違う違う! ちゃんと働いてるよ」 「なんだぁ、良かった! 工藤さんって相手養えそうな男気?みたいなのあるし、そっちかと思っちゃいましたよ〜。ま、ヒモじゃなくて主夫なら全然アリですけどね」 そうこうしている内に、2人分の定食が運ばれてくる。 いただきます、と手を合わせて食事を始める傍ら、会話は先程の問いへと戻った。 「同業の人なんですか?」 「ううん。……音楽関係、かな」 「へぇ〜! 作曲とか!?」 「作曲もしてるみたい」 「えーっ、すごい!」 LIBRAは4人とも作曲を担当すると、孝弘から聞いている。 編曲は、ボーカルの雅也さんとドラムの隼さんを中心に行うことが多いらしいけれど、そちらも最後は全員参加。 「そういう業界の人とどうやって出会うんですか? 合コン?」 「ではないね」 孝弘と出会った場所と言えばバーだが、御園さんには以前、飲んでいる時に出会った人とワンナイトに発展したことをポロッと話してしまっている。 今後、交際相手が孝弘だと明かす日も来るかもしれないから、そのあたりのことは伏せておきたい。 「……たまたま、ちょっと縁があって」 「え〜、私もいい縁が欲しい……」 「御園さんならすぐ見つかるでしょ」 身長155cmくらいと少し小柄で華奢、パステルカラーの洋服がよく似合う可愛い系女子の彼女。 性格的にも明るくて人当たりがいいので、カフェなどで声をかけられることもあると言っていた。 本人が気にいる相手さえいれば、彼氏を作るのは難しくないだろう。 ……これは、横山さんの心を早めに聞いておかないと。 そんなことを思いつつ、熱々のみぞれあんかけを口に運ぶのだった。
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