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22時頃になって、なんだか久しぶりにも思える自宅マンションへ戻る。
郵便受けを見てみると、管理会社から大きな封筒が届いていた。
帰宅してさっそく確認してみた中身は、更新に関するお知らせと契約関係の書類だ。
「もうそんな時期か……」
私が今のマンションに住みはじめて、もうすぐ2年になる。
社会人1〜2年目は学生時代と同じワンルームマンション暮らしを続けていたけれど、家賃補助もあるので、もっと広くて会社に近いところに住もうと引っ越したのだ。
契約期日は、約2ヶ月先の4月半ば。
解約する場合には、1ヶ月前にあたる3月半ばまでに連絡をしなければいけない。
特に連絡しなかった場合は更新の意思ありとみなされ、契約満了月に更新料1.5ヶ月分を加えた家賃が引き落とされることになる。
「どうしよっかな……」
今の家に不満はない。
家賃補助分を差し引いた家賃は10万円以下で、都内人気エリアの駅徒歩12分、1LDKのオートロック。
築年数も10年くらいで綺麗だし、帰り道が静かすぎてたまに怖い以外は、かなり気に入っている。
だけど、孝弘と付き合いはじめてから、週に2〜3日は彼の家に泊まっている半同棲みたいな状態だ。
4月なら、出会って約3ヶ月。付き合いだしてからだと約2ヶ月。
少し早い気もするけれど、完全な同棲に移行するのもナシではないだろう。
でも、流石に今「4月から同棲してみない?」と聞くのは早すぎる。
……とりあえず、解約申請期日が近くなったあたりで孝弘に相談してみようかな。
提出を忘れてしまわないよう、棚の上の目立つところに書類を置いていると、ローテーブルの上に置いていたスマホが短く震えて着信を知らせた。
「……あ、孝弘だ」
開いてみると『鑑賞会決行することになった』と、どことなく悲哀を感じる気もするメッセージが届いていて笑ってしまう。
『いつ?』
『木曜の夜の予定』
『彩香来れそうなら会社近くまで迎えに行く』
『わかった』
『今のところ木曜はそんなに遅くならないはずだけど、無理そうだったら早めに連絡するね』
『了解。悪いな』
『面白そうだからいいよ』
結局孝弘はどんな場面で出たのか教えてくれなかったから、正直かなり気になる。
鑑賞会が俄然楽しみになってきて、私は頬を緩めた。
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