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幸い授業は愛知県とさほど変わらない。
でも教科書は愛知県と群馬県では違うので、石塚先生にスペアを貸してもらえた。
隣の席の子に見せてもらうパターンじゃなく、助かった…。
勉強は苦手じゃない。
だけど、これといって好きな教科はない。
学校には、僕の好きなものは何もない…。
給食はお母さんのご飯の方が美味しいし、運動神経は悪くはないけど、体育の授業は団体行動が苦痛だ。
授業中、気づかれないように赤城くんを観察する。
ドクロのトレーナーを着ている。デザインはアレだけど、生地はしっかりして高そうだ。お金持ちの子なのかな?
群馬県はヤンキーが多いって、転校する前クラスメイトが言っていたな。
ヤンキーの判断基準…ドクロのトレーナーは該当するような気がする。
洋服に興味はない。着ている服はお母さんが全部選んでいる。小学校五年生だと普通だろう。
赤城くんは自分でドクロを選んだのかな?
色々考えていると…あっという間に放課後になった。
ノソノソと帰る準備をして、石塚先生に教科書を返すため、職員室に行く。
職員室に入ると石塚先生は赤城くんと話している。
「遅くなってすみません。父のファイトマネーが入りましたので、これ受け取って下さい。」
赤城くんは封筒を渡している。中にはお金が入っているようだ。
父のファイトマネー?
群馬では給料をそう呼ぶのかな?
頑張ったお金って、なんか響きがいいな。
2人のやり取りを邪魔しないように、脇で見守っていると、副担任の先生が僕に気づき、教科書を回収してくれた。
石塚先生に挨拶できなかったけど、まあいいやと思い、その日は寄り道せず1人で家に帰った。
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