RainDays

あの雨の日

腕に小さな衝撃を覚える

それは一つ、二つと数を増やし瞬く間に大量の斑点を描いた。

夏間近のある夕方。頭上を見るといきなり現れた灰色の雲に辺りは支配されていた。

初めはポツポツ程度だったものが数秒で大粒で激しい雨に変わった。

今日の予報は晴れだった。おそらく夕立だろう･･･

周りも誰ひとり傘を持っておらず激しい雨の中避難できる場所に向かって走り出す。

周りの人間が皆走り出す中僕は雨が降る空を見上げる

鼻を突くのは雨特有のなんとも言えない匂い

上を見たことで顔全体が濡れてしまった。

あの日もこんな雨だった…僕から大切な者を奪ったあの日。

その日を思い出すと今も涙が溢れる。

だけど今はこの雨で涙も地面に流れるだろう。

そんな事を思いながら僕は呟く。

「だから雨の日は嫌いなんだ･･･」

ポツリと呟いた言葉は雨の降る音にかき消され誰の耳に届くことは無かった。