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最後の一文字まで読み終えて、僕は傍らの文庫本に目を向けた。
裏返しに置いてあるその本を手に取り、そのまま手首を返す。
そこには、インクの滲んだ手書きの文字で『汀の喫茶』と書かれていた。
「先生……」
手紙の方を裏返し、もう一度自分で描いた絵を眺める。
「この絵、ピーマンじゃなくてキリンなんですってば……」
開け放していた窓から、赤く色付いた木の葉が舞い込んできた。
季節が、今まさに変わろうとしていた。
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