01.レッドは、出逢う

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「…あ…」 「…?」 今度は気まずそうに、下を向く彼女。忙しい奴だな。 「あの。本当に、ごめんなさい。 お名前、なんて仰るんですか?」 「………は?」 「ぶっ、」 前から何か吹き出した音が聞こえたが、俺は無視して続ける。 「…知らないの?」 「ご、ごめんなさい。 弟がよく写真とかで見せてくれたレッドさんのことしか、分かりません。 失礼で大変、申し訳ありません…」 段々、言葉尻がより小さく消えていきそうになりながらそう伝える彼女。 「……潮音さん、笑いすぎだから。」 「…ごめん、ちょっと面白すぎた。」 運転席でクツクツと、隠すことなく笑う潮音さんを一瞬睨む。 でも、気持ちは同感だ。 名前なんて聞かれたの、いつ以来だろう。
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