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「三ツ谷さん。家、この辺り?」
潮音さんは、ハンドルを操りながらひよりにそう声をかける。
「あ、はい…!このアパートです!すみません送っていただいて。
このお礼は必ずさせていただきます!
…あの、芸能人の方のご連絡先お聞きするのも失礼な気がするので私の電話番号お渡しします。
あいつにそろそろお礼させようという気持ちになられましたら、ご連絡ください。」
どんな気持ちだそれは。
こいつ、なんかズレている気がする。
「家に帰っていいわけ?今日の奴、追っかけてくるんじゃないの。」
「…そ、れは…」
言葉の続かないひよりは、もう癖になっているのか再び俯いてしまった。
何か、言葉を紡ごうとしたその瞬間。
「あれ、アパートの前に誰かいるぞ。」
車を停止させた潮音さんが戸惑いながらそう伝えた。
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