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「……で、なんだこの状況。」
「ほ、本当に申し訳ありません…」
再び潮音さんの車の中。
後部座席には、俺と、ひよりと、ひよりの弟のかえでの3人。
ひよりが心から苦しそうな声で、体を縮こまらせて潮音さんに謝罪する。
「なんで送ったはずが増えて帰ってきてんの?」
「あー確かに。不思議だね潮音さん。」
「お前…」
恨めしそうにこちらを見つめる潮音さんとミラー越しに目が合う。
先程、俺をレッドだと気づいてしまったかえでは、それはそれは興奮していた。
ぎゃーぎゃー騒ぎまくってどの話が好きだの格好良かっただのを伝えてくれていたと思ったら、何かのスイッチが切れたかのように俺にしがみついて寝てしまったのだ。ロボットか。
「本当にごめんなさい…穂積さん、重くないですか?」
「別に、平気。」
そして、今もかえでは俺と向き合うように抱き抱えられて、すやすやと眠っている。
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